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野生植物
整理番号 08720
和名 ソテツ
別名
学名 Cycas revoluta Thunb.
別学名
科名 ソテツ
別科名
方言名 シチチ、スチチ(与論島)、シーヅィズィ、スティツィ、ステツ(奄美大島)、シトゥチ、スティチ(沖永良部島、与論島)、シリチ、ステチ(徳之島)、スッター、ステチ(喜界島)、ステチ(喜界島、徳之島)、シトチ、ストチ、ヒトゥチ(沖永良部島)、ストゥツィ(奄美群島)、種子:ナリ、スティツィナリ(奄美大島)、ヤナブ(沖永良部島)
法令指定・レッドデータブック掲載 鹿児島県:分布重要
分布 宮崎以南
民間療法 実を化膿止めに、種子の煎汁を咳止め、通経、腹痛に服用する。その他、おでき、痔、下痢、二日酔い、釘でさした時、肺結核症や動脈硬化の防止に薬効があるとされる。奄美群島では、芽の綿毛を切傷、止血に、砕いた実を切傷の化膿止め、止血、皮膚病に、幹の澱粉を血圧降下に用いる。
生薬名 蘇鉄子・蘇鉄実(種子)
その他の成分利用 実からとった澱粉を、肥料や燃料に用いる。
有用・有毒成分 子実は、脂肪油のステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、糖分、コリン、トリゴネリン、アデニン、ヒスチジンなどのタンパク質、リンゴ酸、ホルムアルデヒド、有毒成分の配糖体のシカシン、ネオシカシン、マクロザミン、イノシトール、ピニトール、ソテツフラボン、酒石酸、デンプン質を含む。アグリコンのメチルアゾキシメタノールや、メチルアゾキシメタノールが代謝されて生じるジアゾメタンは発癌性がある。神経毒性のある非タンパク質アミノ酸のβ-N-メチルアミノ-L-アラニンを含む。
食用 幹から取った澱粉や、実の芯を食用にするが、水への浸漬や換水が不充分だと、サイカシンが分解したホルムアルデヒドやメチルアルコールで中毒を起こす。
加工利用
植栽利用・観賞利用 防風樹、公園樹、鉢植え、盆栽、切花に用いる。
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